#よみもの

東京2025デフリンピックトータルサポートメンバーとして現地で見た景色

2026.01.13

デフリンピック

静まり返った会場で、選手同士が視線とジェスチャーだけで意思疎通を図り、全力でぶつかり合う。私たちはデフリンピックを現地で観戦し、その光景に何度も胸を打たれました。

アデッソは今回、東京2025デフリンピックにトータルサポートメンバーとして協賛し、研修会や交流会への参加をはじめ、大会期間中は式典や競技を現地で見届ける機会をいただきました。

本記事では、デフリンピックへ実際に足を運んだからこそ感じられた空気や、現地で感じた大会の魅力をお伝えします。

デフリンピックとは?

デフリンピック

2025年11月15日〜26日に、「東京2025デフリンピック」が開催されました。日本での開催は史上初となり、さらに大会100周年という節目の年を迎える、記念すべき大会でもありました。

デフリンピックは、「きこえない・きこえにくい人のオリンピック」とも呼ばれ、オリンピックと同様に4年に一度開催される国際大会です。長い歴史の中で世界のスポーツシーンに確かな存在感を築き、多様性と包摂を象徴する大会として発展してきました。

今大会では、白熱した競技そのものの魅力に加え、選手・観客・運営が一体となり、多様性の価値を体感し共有できる場であることが強く印象に残りました。

また、公式理念に掲げられている「誰もが個性を活かし、力を発揮できる社会」の実現に向け、手話言語の普及や情報バリアフリーの推進、子どもや多様な人々の参画など、幅広い視点を大切にした大会運営が行われていました。

アデッソはデフリンピックのトータルサポートメンバーです

デフリンピックとアデッソ

私たちアデッソ株式会社は、東京2025デフリンピックにトータルサポートメンバーとして協賛しました。当社の代表製品である、振動式アラーム「ブルブル・クラッシュ」を選手向けに提供するだけでなく、交流会や関係者研修会など様々な形で参加させていただきました。

・宿泊施設向けアクセシビリティ研修に参加
→ 詳細はこちら「デフリンピック宿泊施設向け研修会に参加しました」

・協賛企業・団体交流会に出席
→ 詳細はこちら「東京2025デフリンピック協賛企業・団体交流会に参加しました」

・「東京2025デフリンピック直前イベント&壮行会 in かながわ」に出展
→詳細はこちら「「東京2025デフリンピック直前イベント&壮行会 in かながわ」に出展しました」

100日前イベントでアデッソの振動目覚ましが紹介されました

アデッソ100日前イベント

2025年8月7日に開催された「東京2025デフリンピック100日前イベント」では、小池百合子都知事による挨拶の中で、「ブルブル・クラッシュ」が紹介されました。

都知事は、耳がきこえない・きこえにくい方々の朝の目覚めを支える製品として、「音が聞こえなくても、強い振動で確実に起きることができる」と本製品の特徴に言及し、実際に手に取りながら説明をしてくださいました。
→詳細はこちら「東京2025デフリンピック100日前イベント開催 〜共生社会に向け、アデッソも継続サポート〜」

また「ブルブル・クラッシュ」は、選手の目覚めを支援するアイテムとして東京新聞でもとりあげられています。
→詳細はこちら「「ブルブル・クラッシュ」でデフリンピック選手の起床を支援 振動式アラーム時計「多くの人の悩み解決を」」

実際の大会の様子は?

東京デフリンピックでは、アデッソの従業員が実際に会場を訪れました。現地で感じた空気や熱量を交えながら、大会の様子をご紹介します。

・開会式

デフリンピック開会式

11月15日東京2025デフリンピックの開会式が東京体育館で行われました。世界81の国と地域から、史上最多となる3,081名のアスリートが参加し、会場は大きな期待と高揚感に包まれていました。

入場行進では、練馬区の聴覚障害者団体「だいこん連」が太鼓と手話を合わせた演舞で選手を迎え、会場が温かい雰囲気に包まれていました。

会場には秋篠宮ご夫妻、佳子さま、悠仁さまをはじめ、高市早苗首相、小池百合子東京都知事も出席され、式典としての重みと格式を強く感じさせる場となっていました。国歌は一青窈さんが静かに歌い上げ、会場全体が落ち着いた空気に包まれました。

中でも特に心に残ったのは、選手たちが堂々と入場する姿です。一生に一度かもしれないこの舞台に向けて、積み重ねてきた努力や覚悟が、その表情や歩みから伝わってきて、胸が熱くなりました。世界中から集まったデフアスリートが誇りを持って行進する姿は力強く、この大会がインクルーシブ社会や多様性の推進につながり、デフアスリートに本当の意味で光が当たる大会になってほしいと、強く感じさせられる時間でした。

・バスケットボール男子(日本対ウクライナ)

デフリンピックバスケットボール

今回観戦したのは、日本対ウクライナの一戦です。試合全体を通して感じたのは、そのレベルの高さでした。特にウクライナ代表は体格が良く、歩幅の大きさを活かしたプレーで優位に立つ場面が多く見られました。それでも日本は粘り強く得点を重ね、集中した守備で対抗しており、とても見ごたえのある内容でした。

デフリンピックならではの特徴として印象的だったのが、試合運営の方法です。通常のホイッスルは使用されず、オフィシャル席やゴール下に設置されたLEDライトが点灯することで、試合の中断や再開が選手に伝えられます。音に頼らない工夫を、実際の試合で目にすることができました。

また、選手同士のコミュニケーションも非常に特徴的です。声を使わないため、アイコンタクトや手の動きが中心となり、選手一人ひとりが常に周囲を見渡しながら状況を判断していました。特に日本代表は視線の配り方が細やかで、静かな会場の中でも張り詰めた緊張感がはっきりと伝わってきました。

観客の応援スタイルも、他のスポーツ大会とは大きく異なります。声援の代わりに、拍手や手の動き、身体全体を使った表現で選手を後押ししており、会場には自然と一体感が生まれていました。音がなくても熱量は十分に伝わり、デフリンピックならではの盛り上がりを肌で感じることができました。

・バスケットボール女子(ファイナル日本対アメリカ)

女子ファイナル、日本対アメリカの試合は序盤から互いに一歩も譲らない拮抗した展開となり、前半戦を29対37で日本がリード。終盤の攻防はまさに手に汗握る展開でした。第4クオーター残り6.7秒、日本がフリースローを決めて61対65とリードを広げますが、直後にアメリカがスリーポイントを沈め、64対65と1点差まで迫ります。

残り0.9秒、日本が再びフリースローを獲得するも決め切ることはできず、最後はアメリカが逆転を狙ったロングシュートを放ちました。しかし、そのシュートは決まらず試合終了。
日本女子代表が金メダルを勝ち取る、最高の結果となりました。

デフリンピックバスケ

無音に近い会場の中で、最後の一瞬まで張り詰めた緊張感が続いたこの試合。
勝利が決まった瞬間に広がった拍手と喜びの表情は、言葉がなくとも十分に伝わるものでした。デフリンピックならではのバスケットボールの魅力を、存分に感じることができた一日でした。

・柔道男女団体

デフリンピック柔道男女団体

柔道競技では、特に3位決定戦に入った瞬間から、会場全体の雰囲気が一気に引き締まったように感じられました。畳に立つ選手たちは目の前の相手だけに集中し、無駄な動きや視線が一切ありません。その姿に呼応するように、コーチ陣も必死にアドバイスを送り続けており、選手と指導者が一体となって戦っている様子が強く印象に残りました。

観戦している人たちも、声を出さずに応援の気持ちを伝えようと、手を振ったり、動きでエールを送ったりしていました。その光景は、選手からもしっかりと見えていたはずで、気持ちを高める大きな後押しになっていたように感じます。

試合後には、勝った選手も、敗れた選手も、それぞれの感情を隠すことなく表情に表していました。その一つひとつから、選手たちがこのデフリンピックにどれほどの思いを懸け、積み重ねてきたのかが伝わってきます。観戦しているこちらの胸も自然と熱くなる、そんな時間でした。

・ビーチバレー

デフリンピックバレーボール

日本対オーストラリアの試合を観戦しました。会場に到着した当初は、まだ観客の姿もまばらでしたが、日本戦が近づくにつれて徐々に人が集まり、試合開始前にはほぼ満席に。注目度の高さと期待感が、会場の空気からも伝わってきました。

会場演出も非常に印象的でした。音楽やDJによる盛り上げ、電光掲示板を活用した演出によって、試合前から一体感のある空間がつくられており、観客は拍手や身振り、手の動きで選手たちにエールを送っていました。声を出さなくても、熱量は十分に伝わってきます。

デフリンピック

試合は序盤から日本代表が主導権を握る展開となり、技術力と的確な判断でオーストラリア代表を上回っていました。特に印象に残ったのは、選手同士の連携の完成度です。どちらがボールを受けるかを瞬時に理解しているかのように、手話や視線、ジェスチャーを使って迷いなく連携しており、耳が聞こえないというハンデを感じさせませんでした。


全体を通して、競技としての迫力やスピード感は一般のビーチバレーと変わらず、純粋にスポーツとして楽しめる試合でした。同時に、デフリンピックならではの工夫や選手たちの高い技術力や連携力を、間近で感じる貴重な観戦体験となりました。

・卓球

デフリンピック卓球

今回、初めて卓球競技を生で観戦しましたが、まず圧倒されたのはボールのスピードでした。
テレビ越しでは伝わりきらない速さでラリーが続き、何気ない打ち合いに見える場面でも、選手たちは瞬時に反応しています。その動体視力と集中力には、ただただ「凄い」という言葉しか浮かびませんでした。

コーチングの様子も印象的です。得点が入るたびに選手がコーチの方へ視線を送り、確認する姿が多く見られました。柔道のように試合中の指示が限られる競技とは異なり、卓球は比較的コーチングがしやすい競技なのだと感じました。

中でも強く心に残ったのが、日本の山田選手の試合でした。コーチを付けず、ひとりで試合に向き合いながら逆転勝ちを収めた姿からは、技術だけでなく、強いメンタルが伝わってきました。その粘りと覚悟に、自然と胸が熱くなります。

観客の応援スタイルも、卓球ならではの特徴がありました。手話での応援に加え、風船棒を叩いたり、ハリセンのような応援グッズを使ったりと、視覚で選手を後押しする姿が多く見られました。

試合後に見せる選手たちの表情は非常に豊かで、喜びや悔しといった感情がそのまま伝わってきました。このデフリンピックに懸けてきた思いの強さが、プレーの一球一球、そして表情のひとつひとつに表れていたように感じます。

・テニス

デフリンピックテニス

テニス競技は、有明テニスの森公園内の4か所で同時進行して行われていました。その中でも、有明コロシアムでは第2試合として日本代表が出場する女子戦が予定されており、今回は有明コロシアムにて観戦しました。

事前に調べたところ、デフリンピックのテニス競技は基本的なルールは一般のテニスと同じものの、ラケットに当たるボールの音やバウンド音が聞こえない分、ボールの回転や相手選手の体の向き、スイングの癖など、視覚情報が非常に重要になるとのことでした。

日本代表と台北(チャイニーズ・タイペイ)による女子シングルスのクオーターファイナルでは、日本代表の菰方里菜選手が序盤から主導権を握り、終始安定した試合運びを見せました。そのまま流れを渡すことなく勝利し、セミファイナル進出を決定。

さらに、その後出場した女子ダブルスでも勝利を収め、こちらもセミファイナル進出が決まるという、非常に印象的な一日となりました。選手たちの技術、駆け引き、集中力はいずれもトップレベルであり、純粋にテニス競技として見応えのある内容でした。

このレベルの高さを、もっと多くの日本人が知り、興味や関心を持つきっかけが増えてほしい。そう強く感じさせられる、価値のある観戦体験でした。

・バドミントン

デフリンピックバドミントン

バドミントンダブルス競技を観戦しました。会場でまず印象に残ったのは、観客席に複数台設置されたモニターの存在です。試合の状況やルールが文字情報として分かりやすく表示されており、観客皆が細かな駆け引きまで理解しながら観戦できる工夫がなされていました。競技を「誰もが同じ情報量で楽しめる」環境づくりが、自然な形で実現されていると感じます。

試合中、選手たちはミスをしても必ずパートナーや相手とタッチを交わし、気持ちを切り替えて次のプレーへ向かっていました。その一つひとつの動作から、互いを尊重し合う姿勢が伝わり、強いスポーツマンシップを感じさせます。

特に印象的だったのは、南米の選手によるコミュニケーションの場面でした。
試合の流れの中で、怒りや悔しさ、そして励ましといった感情を、パートナーに対して手話ではっきりと表現しており、そのリアルな感情がダイレクトに伝わってきました。声がない分、感情のやり取りがより可視化されているようにも感じられます。

静まり返った会場の中で繰り広げられる、スピード感あふれるラリーと激しい攻防。
そのコントラストが生み出す独特の緊張感は、まさにデフリンピックならではの体験でした。競技の迫力と選手同士の思い、両方を強く感じる、印象深い観戦となりました。

ブルブルクラッシュを使っていただいている選手にお会いできました

デフリンピックの選手

(左)岸野 文音選手(中央)衣川 暁選手(右)岡本 記代子選手

会場では偶然、柔道女子日本代表の
岡本 記代子選手、岸野 文音選手、衣川 暁選手にお会いすることができました。


短い時間ではありましたが、お話を伺う中で、衣川暁選手がすでにブルブルクラッシュをご使用くださっていると知り、スタッフ一同とても嬉しい気持ちになりました。このご縁をきっかけに、ぜひお使いいただければという思いから、岡本記代子選手へはブルブルクラッシュをプレゼントさせていただきました。

皆さま終始とても丁寧で温かく対応してくださり、心より感謝申し上げます。
ブルブルクラッシュが、日々の競技生活やコンディションづくりの一助となっていれば、これ以上嬉しいことはありません。

今後もさらなるご活躍を、心より応援しております。
改めまして、岡本記代子選手、岸野文音選手、銅メダル獲得おめでとうございます。

試合結果まとめはこちら
→東京2025デフリンピック丨結果速報・日本人選手・メダル・成績一覧

デフリンピックを通して私たちが感じたこと

デフリンピック

100日前イベントをはじめ、研修会や交流会への参加を通して関わってきた東京2025デフリンピックも、ついに幕を閉じました。

実際に現地で競技や式典を見届ける中で、デフアスリートの皆さんが、日々どのような環境の中で競技に向き合い、私たちの想像を超える思いや努力を重ねながらこの舞台に立っているのかを強く感じました。その姿に触れ、胸が熱くなる場面も多くありました。

また、大会運営の様子を通して、音に頼らなくても情報が伝わり、必要なタイミングで「気づける」環境が整えられていることが、デフアスリートの競技を支えているのだと実感しました。

音に頼らず、気づきやすいという考え方は、アデッソの「ブルブルクラッシュ」が大切にしているポイントでもあります。本商品が、デフアスリートやきこえにくい方々の日常に寄り添う存在となっていれば幸いです。

今後も、誰もが自分らしく力を発揮できる社会の実現に向けて、私たちにできる形で取り組みを続けてまいります。