Himekuri #よみもの

時計やカレンダーが読めない?認知症の原因と向き合い方について

2023.09.22

認知症を発症すると、時計やカレンダーが読めなくなることがあります。「今日は何日?」「今は何時?」のように、何度も質問されることも珍しくありません。

時間感覚のズレは、「記憶障害」や「見当識障害」といった認知症によく表れる症状の一つです。何度も時間や日にちを伝えても、認知症患者にとっては覚えることが難しく、介護に携わる家族や身近な人は悩んでしまうこともあります。
私たちが普段当たり前にしていることも、当事者にとっては難しいもの。できないことを責めるのではなく、症状と向き合うことが大切です。

本記事では、時計やカレンダーが読めないという認知症の悩みを少しでも晴らすべく、患者との向き合い方やおすすめの認知症グッズを紹介します。

認知症で時計やカレンダーが読めなくなる原因

認知症の症状はさまざまですが、その中に時計やカレンダーが読めなくなる症状、つまり時間感覚のズレがみられることがあります。それにより、薬を飲み忘れたり、真冬に夏の格好をしたりすることも。

時間感覚のズレの主な原因は、「記憶障害」と「見当識障害」の2つが考えられます。なぜ時間感覚が失われるかについてみていきましょう。

記憶障害

認知症の中枢症状における代表的な症状が、記憶障害です。記憶には、新しい情報を脳に保存し、必要な時に応じて情報を引き出す機能があります。

記憶障害は、これらの記憶に関する機能が障害を受けることで起こるのです。「最近物忘れが激しくて……」というのは、出来事を忘れていること自体の記憶はありますが、記憶障害は物事自体を覚えていません。

数分前に薬を飲んだことやお金を使った記憶も抜け落ちてしまうのです。認知症における記憶障害は改善されにくいとされていますが、メモやお薬カレンダーなど、代替え案を取り入れることで、症状と向き合うことができます。

見当識障害

時間感覚のズレが生じるもう一つの原因として、見当識障害が挙げられます。見当識障害とは中核症状の一つで、時間、場所、人などを正確に認識できなくなることがあります。記憶障害や判断力障害ともに起こりやすく、脳内にある情報の整理が難しいとされているのです。

時間に関する見当識障害は、午前か午後なのかわからなくなるケースも珍しくありません。さらに、派生して季節感にもズレが生じるため、夏か冬なのかわからないこともあります。

認知症の時間感覚のズレによる起こりうる行動・症状

時間感覚のズレにより、日常生活に大きく影響することがあります。それだけでなく介護者の負担にもなりかねません。そのため、認知症患者に起こりうる行動や症状を把握しておくことが大切です。

昼夜逆転する

認知症により朝なのか夜なのかわからなくなると、昼夜逆転した生活を送るケースもあります。

たとえば、午前3時 を夕方3時と認識してしまい、突然深夜に起きて日中の行動をするような様子がみられます。いきなり夜中に出かけてしまうと、行方がわからなくなってしまうこともあるので注意が必要です。

季節感がズレる

時間感覚だけでなく、季節感のズレも認知症の症状の一つです。真冬に夏服を着たり、夏なのに毛布をかけて寝ようとしたり、季節に合わせた判断が乏しくなります。

季節を間違えて行動することで、熱中症や脱水症になる危険性もあるため、気をつけなければなりません。会話の中に「もう春ですね」「今日は4月5日ですよ」のように、季節や日付の話題を入れることで、季節感が認識しやすくなるでしょう。

不安や焦燥感を抱く

日付や時間を忘れてしまったりすることは、不安定な心理状況を生みやすくします。忘れてしまったことに対して、周りが責め立てるとさらに追い打ちをかけかねません。

不安や焦燥感を少しでも軽減してあげられるよう、安心させられるような接し方を心がけましょう。

認知症には日めくり電波時計がおすすめ

認知症を発症していなくても、ずっと家にいると今日は何日か、今何時かわからなくなる経験はあるでしょう。特に家にいる時間が長くなる高齢者は、このように時間感覚が薄れていく傾向にあります。

このような状況におすすめなのが、日めくり電波時計です。日めくり電波時計は、日めくりカレンダーと時計が一体となり、デジタル上で時間、曜日、日にちが表示されます。

大きく見やすいデザインなので、離れた場所からも今がいつなのか迷いにくく、認知症グッズとしておすすめです。そこで、日めくり電波時計の使用例とおすすめポイントを紹介します。

服薬カレンダーと併用する

認知症の症状として、薬の飲み忘れがあります。薬を飲んだことを忘れていたり、逆に服薬したにもかかわらず「飲んでいない」と言ったりすることがあります。

一般的には、認知症による薬の飲み忘れ対策として、お薬カレンダーを使用する例が挙げられますが、そもそも今日が何日かわからないと管理が難しいものです。

そこで、お薬カレンダーの横に日めくり電波時計を置くと、飲み忘れの確率を下げることができます。毎日自動で日にちが変わるため、日めくりカレンダーのようにめくり忘れの心配もありません。

日めくり電波時計単体で使う

日めくり電波時計をお薬カレンダーと併用するほか、日めくり電波時計のみで使用するのも時間感覚を取り戻すのに有効です。日めくり電波時計の中には、表示文字が小さいものもありますが、認知症患者が読みやすいようにデザインされたものもあります。

商品はこちら

アナログ時計を読める段階でも、これから症状が進行することを見据えて、準備として購入するのもおすすめです。また、文字が大きく表示されているので、老眼対策にもなります。日めくり電波時計は認知症の人だけでなく、幅広い高齢者の人に向けられた実用的な商品といえるでしょう。

まとめ

現状、認知症は一度発症すると完治することはないため、解決策を探すのではなく、症状と向き合うことが重要です。よくある症状として、時計やカレンダーが読めなくなることがあります。

時間感覚がズレることで、薬を飲み忘れたり、夏場に冬服を着たり、本人の体調や命につながる危険性もはらみます。本記事では時間感覚のズレによる影響を防ぐ方法として、家の中に時間や日にちを認識する機会を取り入れるべく、日めくり電波時計の活用例を紹介しました。

日めくり電波時計は自動的に時間、日にち、曜日を表示するため、日常生活のスケジュールを追いやすくなります。それにより、食事や服薬、病院の予約などを適切なタイミングで行う手助けとなるでしょう。

認知症とうまく向き合うべく、日めくり電波時計のような実用品を取り入れるのも一つの手段です。症状や環境に合わせて、いろいろな方法を試してみてください。